あるところに会話がうまく持てない父子がいた。そんな父親のもとへ奇妙な仮面が届く。仮面をかぶった父親は別世界に連れていかれ、人面牛身の妖怪「くだん」に変身してしまう。「くだん」となった父親はその世界に生えている巨大な木の根が人間とつながっていることを知る。さらにその木は植木のように手入れが行われ、不要な根が伐採されることに気づく。自分の息子につながる根も切られそうになっているのを目撃した父親は息子を助けようとするが…
人間は一人づつ別個の生き物のように見えるが、実際は巨大な生物の1細胞であり、その細胞同士をつなげているのは「言葉」ではないだろうか。子供との間に言葉を失っていた男が特異な体験からその構造を理解し、子供との間に言葉を取り戻すまでを描く。
ストーリー
くだんとは
この作品のタイトル「くだん」とは妖怪の名前である。漢字で「件」と書く。くだんは人面牛身で生まれてすぐに人語を解し、戦争や飢饉などの予言をするという。その予言は常に正しく、数日から1週間程度で死ぬとされる。
この作品におけるくだん
くだんとは、未来の人間が牛の体を通して現代に首を出している状態であり、その未来人が体験したことを語っているのではないだろうか。つまり、一種のインターフェースである。そのような仮説を元に、この作品では人面牛身という形態と、二つの世界をつなぐインターフェースという機能のみを扱っている。したがって、この作品におけるくだんは本来のくだんとは異なるものである。
作品データ
制作年 | 2008年 |
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上映時間 | 9分23秒 |
オリジナルフォーマット | HDCAM 24P (23.98PsF) |
音声 | ステレオ |