アジア映画初、ヴェネツィア国際映画祭クラシック部門において『殺しの烙印』4Kデジタル復元版が最優秀復元映画賞を受賞

当社が映像修復を担当した鈴木清順監督の『殺しの烙印』4Kデジタル復元版(日活株式会社)が、第79回ヴェネツィア国際映画祭のクラシック部門において、アジア映画として初めて最優秀復元映画賞を受賞しました。

『殺しの烙印』の4Kデジタル修復作業

当社では本作の修復作業にあたって、日活株式会社様によって保管されていた制作当時のオリジナル・ネガ原版(35mm)を素材とし、物理修復・フィルムクリーニング、4K Over Scan、デジタルレストアを経て、関係者立会のスクリーングレーディングを行いました。そして完成した4Kデジタルソースマスターから、上映用素材(DCP)等を制作しています。

修復チームでは日活株式会社様のご協力のもと、事前に台本・関連書籍・制作資料・当時の現像技術研究を徹底して行いました。グレーディング工程では長く日活作品を手掛けてきた当社スタッフが担当し、フィルム本来の質感を保ちながら、4Kならではの精細な画像情報を引き出し、完成初号当時のような美しい仕上がりを目指しました。

音声に関しても、作品の音響演出を詳しく確認したのち、経年によるノイズ等の劣化を注意深く取り除いて本来のクリアな音像を復元。メリハリのある設計がされていたオリジナルの効果がより引き立つよう注力しました。

ヴェネツィア国際映画祭クラシック部門とは

ヴェネツィア国際映画祭クラシック部門(VENEZIA CLASSICI)では、過去1年間の間に復元されたクラシック作品のうち、特に優れた作品が選ばれます。同部門は2012年に設立されこれまでも邦画作品は数多く選出されてまいりましたが、日本映画としての受賞は初めてとなります。

当社ではフィルムラボとして培った技術とデジタル映像技術を融合しながら、歴史的な映画作品の修復に取り組み、その技術を発展させてまいりました。当社が修復を担当した作品が本映画祭の栄えある賞を受賞されたことは大変光栄です。

『殺しの烙印』4Kデジタル復元版は、『Nikkatsu World Selection』として、2022年11月3日(木・祝)~11月10日(木)シネスイッチ銀座にて上映されます。(全国順次公開)

『Nikkatsu World Selection』
■日時:2022年11月3日(木・祝)~11月10日(木)
■会場:シネスイッチ銀座 (東京都中央区銀座4-4-5 簱ビル)※全国順次公開
■上映作品:丹下左膳余話 百万両の壺/河内山宗俊/月は上りぬ/乳房よ永遠なれ/幕末太陽傳/殺しの烙印/神々の深き欲望/㊙︎色情めす市場