第73回ベルリン国際映画祭のクラシック部門に、当社が4Kデジタル修復を担当した『夜の河』が選出されました

当社が修復を担当した吉村公三郎監督の『夜の河』4Kデジタル修復版(1956年/大映 ※現・株式会社KADOKAWA)が、第73回ベルリン国際映画祭のクラシック部門に選出、上映されることが決定いたしました。

1月20日(金)から東京・角川シネマ有楽町で開催されている「大映4K映画祭」にて上映中の本作の4Kデジタル修復版は、ベルリン国際映画祭が初の海外上映となります。

(C)KADOKAWA1956

『夜の河』の4Kデジタル修復作業

当社では本作の修復作業にあたって、株式会社KADOKAWA様によって保管されていた制作当時のオリジナル・ネガ原版(35mm)を素材とし、物理修復・フィルムクリーニング、4Kオーバースキャン、デジタルレストアを経て、撮影監督・宮島正弘氏監修のもとスクリーングレーディングを行いました。そして完成した4Kデジタルソースマスターから、上映用素材(DCP)等を制作しています。

本作は国内でのカラーフィルム黎明期の作品であり、当時のカラーフィルムの色彩を正しく再現するために、現存するフィルムそのものを計測したのち、色の表現範囲を推定し、デジタル上で発色シミュレーションを行う方法にチャレンジしました。映像のデジタルレストアに関しても、フィルム作品本来の質感を保ちながら、4Kならではの精細な画像情報を引き出すことを心がけ、音声に関しては、経年によるノイズ等の劣化を注意深く取り除いて本来のクリアな音像を復元しています。初号完成当時のような美しい仕上がりを目指しました。

ベルリン国際映画祭のクラシック部門とは

世界三大映画祭の1つであるベルリン国際映画祭では、Berlinale Classicsと銘打ち、デジタル化された名作を上映する枠というコンセプトで部門が設定され、今年は8作品の上映が発表されています。

当社ではフィルムラボとして培った技術とデジタル映像技術を融合しながら、数多くの映画作品の修復に取り組み、その技術を発展させてまいりました。当社が修復を担当した作品が本映画祭の栄えある部門に選出され、また修復の仕上がりを評価いただいたことは大変光栄です。

『夜の河』4Kデジタル修復版は、大映映画を4K化した傑作選を上映する「大映4K映画祭」にて、1月20日から東京・角川シネマ有楽町、1月28日から大阪のシネ・ヌーヴォほか全国で順次公開されます。

(C)KADOKAWA

大映創立80周年記念企画「大映4K映画祭」

■日時・会場:
2023年1月20日(金)~ 東京都 角川シネマ有楽町
2023年1月28日(土)~ 大阪府 シネ・ヌーヴォほか ※全国順次公開

■上映作品:
『赤い天使』『夜の河』『斬る』『剣』『剣鬼』『大菩薩峠』など全28作品

「大映4K映画祭」の詳細については、以下公式サイトよりご確認ください。
https://cinemakadokawa.jp/daiei-80/