印象をコントロールする“カラーグレーディング技術”~ファブリックのやわらかな質感と力ある色の表現を目指した『Weaver’s QUEST織物屋の試み展』篇~

映像作品の制作工程において、色、明るさ、コントラストを調整するカラーグレーディングは、その作品の印象に大きな影響を与えます。作品がより奥深く、そして魅力的に変化するカラーグレーディング技術を『Weaver’s QUEST織物屋の試み展』の制作工程に沿ってご紹介します。

作品との対話

『Weaver’s QUEST織物屋の試み展』は、京都のファブリックメーカー「川島織物セルコン」が織物の未来と100年後の川島織物セルコンを考える活動の一つとして始動した「織物屋の試み展」のイベントPR用Webムービーです。
3名のファッションデザイナーと北欧家具ブランド「フリッツ・ハンセン(Fritz Hansen)」のコラボレーション作品を中心に、織物という伝統技術を表現した本作のカラーグレーディングを当社の横田早紀が担当しました。

「経糸と緯糸が交差するシンプルな構造ながら、無限の可能性を秘めた織物。
織物へのあくなき探究心と挑戦が、川島織物セルコンのモノづくりの支え。
“伝統技術と現代技術” “日本の文様と世界のデザイン” “技術と表現”を融合させ、驚きと感動を提供していきます。」

監督の狙いは、この川島織物セルコンの信念を余すことなく映像として表現し、“全体の雰囲気がインパクトのある作品にしたい”というものでした。そして「作品の色をしっかりと出す」ことにも意識を向け、監督の狙いと両立させるアプローチで作品づくりがスタートしました。

力ある色の表現

当社はコンフォームからカラーグレーディング工程を担当。作業日数は1日という限られた時間の中で、作品に沿ったルックの作成、カットごとの色と明るさの補正、商品の正確な色再現を行いました。

全体のトーンはコントラストの強さを出しつつも、最暗部とハイライトの柔らかさを意識してシネマルックを目指すことで監督の狙いを表現していきました。

また、作品全体を通じてクールな印象になるようにハイライトにシアンを足し、ファブリックの元となる“糸”や商品で使われているそれぞれの“色”は強い印象を持たせるために、トーンカーブを細かく調整していきました。そして、風景とファブリックの質感が心地よく融合し、柔らかく伸びた印象になるよう追及していきました。

横田:「本作品はファブリックを製造する“人”、“物”、そして融合する“風景”などシチュエーションが様々です。画のバリエーションも多いため、全体のトーンは統一しつつも、流れで見たときにカットごとで色の変化がある方が楽しめると感じ、1カット1カットが印象に残るように作り込んでいきました」

「職人の目の力強さを表現するため、ハイライトを伸ばしてコントラストを付けつつも暗部は柔らかくし、繊細さを残したルックで作っています」

「商品の色はその豊かな色合いが実物と同じ印象になるよう細かい調整をしています。糸自体の繊細なテクスチャーや質感を引き出せるよう仕上げていきました」

使用設備 @東京映像センター Resolve1

『Weaver’s QUEST織物屋の試み展』の動画は以下サイトよりご覧いただけます。

https://www.kawashimaselkon.co.jp/event/kokoromi2020/

『Weaver’s QUEST織物屋の試み展』は、第25回 JPPA AWARDS 2021映像技術部門にて優秀賞・新人賞を受賞しました。

横田早紀

2017年入社、2020年7月〜カラリストとして数多くの作品に携わる

主な担当作品
・ドラマ「ハルカの光」
・CM「湖池屋 クレー爺コイケさん」
・MV「Official髭男dismーCry Babyー」 等

“作品の内容やカメラマンの思いを尊重しつつ、少しでも私の個性を取り入れること。そして、「何度でも見たい」と思ってもらえる作品のルック作りを心掛けています。”

当社カラーグレーディングについてのお問い合わせは以下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。