フィルムの調査・予防保存

映画誕生から120年余り、フィルムに記録された映像は貴重な文化遺産として、また歴史的な資料としても後世に受け継いでいく必要があります。

原版となるフィルムには一番多くの情報が含まれています。複製やデジタル化だけがアーカイブのゴールではありません。フィルム自体の予防保存を考え、後世に残していきましょう。

当社ではフィルムの状態を調査し、今後の運用・保存・劣化対策に最適なご提案をいたします。 長い間倉庫に保管されていて「中身が不明」「酸っぱい匂いがする」そんなフィルムがありましたらまずはご連絡ください。

フィルムの調査

フィルム簡易診断書

修復やアーカイブをどのように進めていくか検討するため、保管されているフィルムの状態を調査します。

・ADストリップ※による劣化度の診断
・フィルムの状態調査・報告書の作成
・フィルムのコマ画像の撮影
・出張調査
・巻き返しによる脱酸や缶の入替、吸着剤封入等の予防保存

※ADストリップ:フィルムの酸性劣化の進行度を測定する試験紙

テテレ(当社自社開発の簡易テレシネ機)

「何が映っているか分からない」「デジタル化の優先順位を付けたい」など、修復作業を行う前に、まずはフィルムの中身を見ることが出来ます。

手回しでフィルムをプレビューしながら、画像や動画キャプチャも可能です。スプロケットレスと非接触型パーフォレーション・センサーを採用しており、劣化したフィルムにも負荷の少ない構造となっています。

35mm以下すべてのフィルムフォーマットに対応しており、可動式機材ですので専門技術者による出張作業にも対応します。

フィルムの劣化

映画フィルムはベース素材や保存環境によって劣化症状が大きく異なります。

1950年代後半から現在まで一番多く使用されている、アセテートベースのフィルムが劣化すると、お酢のような「酸っぱい臭い」を放ち、ビネガーシンドロームと呼ばれる劣化症状が現れます。

一方、1950年代以前に使用されたナイトレートベースのフィルムは劣化症状が異なります。こちらは可燃性フィルムとも呼ばれ、原料のセルロイドは危険物第5類に指定されています。劣化が進むと自然発火する危険もあるため、劣化の兆候には特に注意が必要です。

ビネガーシンドロームとは?

フィルムに含まれる酢酸セルロースという成分が、空気中の水分と反応して加水分解を起こし、酢酸ガスを発生させます。このガスによって劣化が進行し、ある一定の段階に達すると、劣化スピードは急速に加速していきます。症状としては酢酸臭、カーリング、固着、画像(乳剤)の剥離、結晶化などがあり、複製やデジタル化が困難になる可能性があります。
また、ビネガーシンドロームで発生する酢酸ガスは、一緒に保管している他のフィルムにも悪影響を及ぼすため、隔離するなど保管にも注意が必要です。

フィルムの枯らし作業

専門の技術者がフィルムを丁寧に巻き返し、劣化の確認を行います。(この作業を「枯らし」と呼びます)

フィルムを巻き返すことにより、内部に滞留したガスを一時的に取り除きます。同時に劣化状態に関する報告書を作成いたします。

酢酸ガス除去機 KARASY(カラシー)

当社には、フィルムから発生する酢酸ガスを除去する専用機材(KARASY)があります。

排気をしながら常に新しい空気にフィルムをさらすことができ、一度に大量の酢酸ガスの除去ができます。

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